5月某日、世田谷区、いつもの散歩道にて立葵(タチアオイ)。
垂直に帯びる意思、立葵。白、ピンク、赤の立葵の花々が夕風に揺れ、夢のようにきれいだった。
ずっと昔、私が受験を控えて勉強をしていた頃、当時住んでいた家の付近に立葵の白い花が沢山並んで咲いていた。
すくっと長い茎が青い空に向かって立ち上がり、その上の方で潔いほど白い大きな花々が揺れている。凛とした花の佇まい、支柱もないのに垂直に力強く立ち上がる姿は、私に上昇する意思を感じさせた。
それから、私は立葵を「意思の花」と呼ぶようになった。
昔も今も立葵を見ると、その上に向かって伸びる姿に心も上向きになるのだ。
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