[要町] 南町庚申塔~遠くの街の金剛像と近くの観音様~

[要町] 南町庚申塔~遠い街の金剛像と近くの観音様~ BLOG

地球の上の東京のあたり、6月某日、副都心線要町駅に降りる機会があり、道すがら小さな金剛像に出会った。
最近、道のわきの小さなお地蔵様や観音様がすごく気になり(可愛いし)、よく手をあわせて拝んでいる。

祠の中は薄暗く、初めはよく見えなかったが、像を解説した図もあり興味深く、近づいて中の青面金剛像(しょうめんこんごうぞう)を写真に収めてきた。
写真では分かりにくいかもしれないが、金剛像の下には三猿(見ざる聞かざる言わざる)、足の両脇に雄鶏と雌鶏、頭の右に日、左には月が昇っている。

祠の横には丁寧な案内板があり、子供の頃、どこかで聞いたことのある話(マンガ日本昔話だったか?)が書かれていた。

南町庚申塔
 ~前略~
庚申講は、六〇日に一回訪れる、庚申の日に議員が集まり、皆で庚申の掛軸を前に般若心境などの祈祷をささげ、飲食をともにし、徹夜をして明かすという風習に基づいた民間信仰の一つであり、皆が徹夜することにより、人間の体内に宿り、その人の罪過を観察して庚申の日の晩に天帝に報告を行う「三尸(さんし)」という虫が、人々の就寝中に抜けだすことを防ぎました。
 ~後略~

人間の体から抜け出した三尸(さんし)が天帝にその人の罪悪を告げると、その人間の寿命は縮まるという。三尸が病気を起こしたり、寿命を縮めさせたりする理由は、宿っている人間が死ぬと自由になれるからであり、『太上三尸中経』にも人間が死ねば三尸は自由に動きまわれる鬼(き)になれるため人間の早死にを望むとあるそうだ。
引用・参照元
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%B0%B8

三尸、怖くてヤバい奴…。生まれた時から人間の体に入っているらしい。

古い板に書かれた「庚申尊の由来」によると、この像はなんと宝永5年に設置され、この地域を見守ってきたありがたい存在なのだそう。土地の守護神である。
300年前からあったとはすごい!どうりで惹きつけられるわけだ。


ありがたく金剛像を拝んだ後で、小さな観音様のことをふと思い出した。

私が暮らす街の商店街にも小さな観音様が設置されていて、通りかかるとお賽銭を投げて拝んでいるが、あの観音様も案外遠い昔からいらっしゃるのかもしれない。50年?100年?もっと?200年前だろうか? はて、いつからいらっしゃるのだろう?
観音様には友達みたいな感じで気軽に色々頼んでいるが、観音様のことを私はよく知らないのだと気づいた。

遠くの街で出会ったものには来歴を知ろうとするくせに、身近な存在だとなおざりにしないまでも、じっとよく見ようとしない。そういうことって結構ある。観音様の前を通るのが大抵暗い時間だからなのもあるが、それにしてもいけない。
身近にこそありがたい存在があるはずだし、お賽銭を入れれば願いを叶えてくれる、守ってくれると思っている安易な姿勢をちょっと顧みたりした。どうも、私は近所の観音様にはカジュアルになりすぎているようだ。

今度、観音様の前を通ったら来歴を読んでから拝もう、暑いけど、襟を正してから商店街に向かおうと思った。

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