9月某日、台風の影響で外は土砂降り、ズボンの裾を濡らしながら仕事の約束で外苑前へ。
表参道や明治神宮前で降りることはよくあっても、外苑前は通過するばかりで、駅に降りたのはこれが初めて。降りてみると、わりと小さな駅だなあという印象だ。
いちょう並木道(※)に近いa4出口に向かうと、そこに鮮やかな現代的なアートがあった。ステンドグラスに描かれた赤や黄の光が地下鉄の駅の空間をパッと明るく灯す。
作家より
引用元:パブリックアート|東京メトロ銀座線外苑前駅 「躍動の杜」(山下良平)|日本交通文化協会 (jptca.org)
山下良平 現代絵師
スポーツの杜として知られる明治神宮外苑は世界中から感動を求めて人々が集い歓喜する場所です。
本ステンドグラスは銀杏並木道を全速力で駆け抜けるスプリンターを中心に鑑賞者がスポーツの世界へと吸い込まれていくような感覚になることを目指して絵作りしました。
訪れる人々を本物のスポーツの感動へいざなうアートとして存在し、親しまれ続けることを願っています。
外苑前周辺は秩父の宮ラグビー場や明治神宮球場、国立競技場などスポーツ施設が数多くあり、大きなスポーツイベントも行われるエリア。まさに「スポーツの杜」だ。いちょう並木通りもランニングコースになっている。
ステンドグラスに力強く描かれているのは、銀杏輝くロードをスポーツマンたちが疾走する、躍動にあふれる街の光景なのだ。
ステンドグラスの美しさに目がひかれた他、階段やエスカレーター脇の壁、トイレの鏡にまで銀杏があしらわれているのが心憎い。
仕事の話は駅から7、8分の場所で行われ、30分ほどでスムーズに済んだ。
数年前、職場で一緒だった男性で全国3位という優秀な成績の人がいた。
とにかく成績競争の激しい職場で、成績上位でもいつもキリキリしている人もいたが、その男性はにこやかでいつも爽やかだった。本当に優秀な人は人柄も違うと感心したものだった。
「仕事じゃなくてスポーツだと思って、毎日やってきたんです」とその男性は笑って話してたことを思い出す。
その日会って話をしたビジネスパーソンも、そんなタイプの人にみえた。
ベンチャーの世界で次々と問題が起こりながらも、鍛え抜かれた反射神経で素早く問題を打ち返してどんどん勝ち上がっていく。スポーツのように汗かき息切らしながら、時々カッコ悪く転びそうになっても、最後はちゃんと勝つ。
タフだなあ、とその人が的確に言葉を選びながら話をする姿にパワフルなオーラを感じながら思った。
そして、そのビジネスパーソンの姿がステンドグラスの中を疾走するランナーたちに重なってみえた。
次回は、銀杏が見頃の11月に訪れようと思う。
※いちょう並木通り
青山通りから背の高い銀杏の並木が聖徳記念絵画館の前まで続く。秋が深まる頃には絵のように美しい並木道になるとか。ふさふさと、道行く人の足元に黄金色の銀杏の葉が降りつもる光景が目に浮かぶ。
見頃は11月下旬頃。